今月の主題 血栓とその臨床
血栓の放射線診断
放射性同位元素
石井 靖
1
,
鳥塚 莞爾
1
,
浜中 大三郎
1
,
鈴木 輝康
1
,
米倉 義晴
1
,
山本 和高
1
1京大放射線核医学科
pp.842-845
発行日 1979年6月10日
Published Date 1979/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402215912
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はじめに
血栓には,血流の速い高圧系において,血小板を主体として形成される動脈血栓(white thrombus)と,血流の停滞しやすい低圧系において線維素網を主体として形成される静脈血栓(coagulationthrombus)の2種類があるが,前者は脳虚血発作,脳卒中,心筋梗塞,そのほか種々の動脈血行不全の原因となり1),大半は動脈硬化症を基礎としているので,その基盤はきわめて広い.しかしながら,現在のところ有効な検出法を得ていないので,その実態については推測の域を出ず,したがって有効な対応策もない.
後者の静脈血栓症については放射性同位元素(RI)を使用する125Iフィブリノゲン摂取検査の確立によって,その臨床的実態が明らかとなり,したがって抗凝固療法などの対応策を有効になしうることが可能となった2〜4).本症はとくに入院患者の下肢,骨盤領域にきわめて高頻度に形成され,これはしばしば重篤な肺塞栓症の原因となり,不幸な転帰をとるに至る.
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