今月の主題 血栓とその臨床
血栓塞栓症
四肢動静脈
阪口 周吉
1
1浜松医大第2外科
pp.852-855
発行日 1979年6月10日
Published Date 1979/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402215914
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動脈血栓症
成因と頻度Virchow以来,血栓形成には血管壁の変化,血流の緩徐化,血液成分の変化が関与することが知られている.四肢末梢もその例外ではないが,急性動脈血栓症の基礎疾患としては閉塞性動脈硬化症(ASO)が最も多く,ほとんど大半(85%)を占めている.すなわち,血管壁の硬化,アテローム変性,狭窄などを有するものが,ある時点で何らかの因子が加わり,急激に広汎な血栓を発生するものである.
図1に示した症例では,左外腸骨動脈以下が閉塞しているが,右も相当に強い狭窄がみられる.この例において,多少の凝固能亢進や血流の緩徐化などが起これば,たちまち右も閉塞し,右下肢には急性阻血が発生する.この際,副血行の発生が少なければ少ないほど症状は激しい.このようなASO血栓症が末梢動脈血栓症の典型である.
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