図解病態のしくみ 消化器疾患・2
消化性潰瘍(1)—病因と病態生理
松枝 啓
1
1国立病院医療センター消化器内科
pp.784-788
発行日 1979年5月10日
Published Date 1979/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402215896
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はじめに
消化器疾患の中で,消化性潰瘍ほど今までに議論され,また書かれた疾患はないと思われる.実際,多くの臨床家は,その診断と治療に関しては何ら疑問を感じておらず,また,その原因を考える際にも胃酸以外のことはほとんど考えないのが現状である.
しかしながら,われわれのもっている消化性潰瘍の概念や現在行われている治療について批判的に吟味してみると,明らかに多くの問題点の存在することがわかる.すなわち,病態生理を正しく理解していないため,まちがった食事療法や薬剤の使用,そしてまた合理的な制酸剤の投与がなされていない現実に気づくのである.
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