今月の主題 肺機能検査の実際
肺機能検査の変遷
梅田 博道
1
1名保衛大内科
pp.478-479
発行日 1979年4月10日
Published Date 1979/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402215823
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肺機能検査事始
肺機能検査は息を測ること,measurement of breathingに始まり,その歴史は1846年,Hutchinsonの肺活量の測定に始まる.わが国でもHutchinson typeの肺活量計は戦前から広く普及し,病院・療養所だけでなく,学校の体力検査などにも盛んに使われていた.また,肺活量に関しては,戦前すでに海老名先生(前東北大学抗研教授)の業績があり,海老名の式としてよく知られている.
しかし,わが国における近代肺機能の黎明は,筆者の恩師である笹本(浩)先生(現東海大学病院長)が1952年,米国より帰国され,ロックフェラー財団より新しい肺機能測定機器の寄贈を受けたときに始まると思う.Benedict-Roth型レスピロメーター,Tissotガスメーター,DarlingのFRC測定装置,Scholander微量ガス分析器,Roughton-Sholander血液ガス分圧測定装置,オキシメーター,ベックマンpHメーター,心臓カテーテルなど,これらの機器は今でこそ珍しくなく,現在ではむしろ古典的なものも多いが,当時の日本にはまったく無かったものばかりであった.この領域での米国との差にがっくりすると同時に,新たなファイトを燃やしたものである.
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