今月の主題 臨床家のための輸血学
免疫からみた輸血
Transfer factorとInterferon
伊藤 碩侯
1
,
松本 脩三
2
1北海道赤十字血液センター研究部
2北大小児科
pp.354-355
発行日 1979年3月10日
Published Date 1979/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402215797
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はじめに
輸血における白血球製剤の利用は限られていて,赤血球,血小板およびその他の成分と同様に考えるわけにはいかない.白血球輸血の主な目的は食菌作用の補強であって,今日ではsingle donorからleukapheresisによって単離された大量の顆粒球のみが用いられている.この方法以外の白血球輸血については,白血球に多くの型物質があり,それぞれの抗原性が強いために,赤血球型にみられるように一部の型(ABO式およびRh型の各血液型)が適合すれば,輸血に使用してもよいというものではなく,さらに患者が免疫抑制療法を行っているような例では,しばしばgraft versus host反応が見られるために,副作用の危険性も危惧されるところから,1回200mlの採血による白血球の利用は,現在の輸血療法における血液成分製剤の中からはずされている.そこで近年では,成分輸血後に剰余される白血球の有効利用として,一つは細胞性免疫の伝達因子としてのtransferfactor(以下TF),いま一つはウイルス抑制因子としてinterferon(以下IF)の作成の面での利用法が模索されている.
これらはいずれも多くの血液を扱う施設の積極的な協力がなければ,広汎な利用の道がひらかれない.
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