天地人
タコの足
人
pp.2485
発行日 1978年12月10日
Published Date 1978/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402208401
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大晦日・お正月にはよくタコを食べる.タコには8本の足があり,泳いだり,歩いたり,物に吸いついたり,時には自分自身の食物になったりすることはよく知られている.それに,時々1本だけ他の7本よりも長いことのあることは知っていても,それが大切な性器の役割をすることはあまり知られていない.
タコやイカは頭足類といわれ,これらの動物では頭から足が生えている.よくマンガなどでは,丸い頭に鉢巻をして8本の足で立ち上がっているタコを描いている.実は,あの丸い頭のように見えるところは頭ではなくて胴の部分なのである.そのなかには,胃や腸や心臓や鯛のような大切な内臓がすべて納められている.頭は胴に続く部分で,そこには口も眼もある.だから頭から足が生えているわけである.イカも同じ構造になっている.大切な内臓を納めてある胴は外套膜という肉厚の嚢で保護されている,われわれが好んで食べる肉厚の部分は,実はこの外套膜というわけだ.ちょうど人がもこもこのマントを着ているのと同じわけで,胴の中にある輸卵管や輸精管もすっぽり包み込まれて外面に露出していない.このような状態では,とても雌雄の間で交接器を直接に接触させることもできまいと容易に推測できる.彼らはどうして生殖活動を行っているのであろうか.しかも,頭足類も脊椎動物と同じで,体内受精を行っている.
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