臨時増刊特集 これだけは知っておきたい治療のポイント 第2集
XI.腎疾患
5.透析療法の問題点
透析中いかなる患者に腎移植をすすめるか
三村 信英
1
1虎の門病院腎センター
pp.2294-2296
発行日 1978年12月5日
Published Date 1978/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402208340
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はじめに
"透析中いかなる患者に腎移植をすすめるか"というテーマをいただき,はたと困惑しているしだいである.なぜならば純医学的に可能であれば,腎移植が絶対的に有利なことは周知のことであり,すべての透析症例に腎移植をすすめることになろう.
しかし,現状を考えると,上記のテーマは臨床医にとって重大な問題となる.医学の進歩,医療の普及,社会性,経済性などを考慮しなければならなくなる.数年前までは"いかなる腎不全患者に透析療法をするか"が問題となっていたが,現在は透析療法の進歩と普及により,おそらく臨床医であれば,すべての腎不全患者に透析療法をすすめ実施するであろう.腎移植法も組織適合性の有利な腎提供を自由に得られるようになれば,すべての慢性腎不全患者に実施し,現状の透析療法は腎移植手術を実施する前,および機能するまでの期間の治療法に過ぎなくなるであろう.
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