臨時増刊特集 これだけは知っておきたい治療のポイント 第2集
V.肝・胆道・膵疾患
5.肝・胆道治療薬
肝臓薬の効果とその使い方
平山 千里
1
1鳥取大第2内科
pp.1986-1987
発行日 1978年12月5日
Published Date 1978/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402208225
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はじめに
肝臓病のうち,具体的にその治療が問題になるのは,腹水,意識障害,消化管出血など,非代償性肝疾患にみられる肝不全の対策である。したがって,われわれが日常遭遇する代償性肝疾患に対しては特殊な治療薬を必要としないという考え方が,欧米,とくに米国では有力である.しかし,古くから病的状態にある肝細胞の機能を改善する試みがなされており,このような薬物は肝臓治療薬,強肝薬,肝疵護薬などの名で医師および患者側から広く親しまれてきている.
肝臓治療薬は,主として代謝性医薬品に属しており,動物実験で肝障害の予防や治癒促進に有用であるものが多いが,その作用が一般に緩徐であるため,はたして臨床的に有効か否かについては疑問点が多い.ただ治療に有効でなくとも,患者の診療上は有用であるといわれている.事実,これらの薬物のうちには二重盲検試験で,患者の自覚,他覚所見を改善する成績が得られているものもある.
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