今月の主題 消化器薬の使い方—その効果と限界
(editorial)消化器薬の使い方—その効果と限界
上野 文昭
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1東海大学大磯病院・内科
pp.566-567
発行日 1991年4月10日
Published Date 1991/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402900782
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●薬ぐらい誰でも出せるが……
医師が薬物療法を行う際,最低限必要なことは何であろうか?おそらく処方箋を書くことだけが最小限物理的に要求される.実際,これだけで患者に対して治療が可能となることが薬物治療の恐いところである.患者の病態をたいして把握していなくても,また薬剤に対する知識を持ち合わせていなくても,薬剤名と投与量と適応症ぐらい知っていれば,薬物療法は一応物理的に可能になってしまうのである.
一方,外科的冶療の場合を考えてみたい.例えば胆?摘出術を行う際,ただ胆石があるからといって,見様見真似で患者の腹を開く医師はよもやいまい.手術法について成書を熟読し,実際の手技の適切な研修を受け,合併症とその対策にも熟知し,個々の症例で適応を考えた上,患者に十分な説明を行い,同意を得た後に治療を行うのが常識である.
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