今月の主題 デルマドローム—内科疾患と皮膚病変
感染症
帯状庖疹と全身疾患
佐々田 健四郎
1
1国立名古屋病院皮膚科
pp.1571-1573
発行日 1978年11月10日
Published Date 1978/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402208085
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はじめに
帯状庖疹は皮膚科外来患者の0.5〜2.0%に発生するが,近年はやや増加の傾向にある.季節的変動はあまりなく,罹患年齢は従来の統計では20代と60代の2峰性に多発するとの報告が多いが,国立名古屋病院における昭和45年〜昭和50年までの6年間の帯状疱疹は576例で,全患者の1.4%を示し,41歳以上が302例で半数以上を占め,さらに61歳以上は130例に及んだ.性別は女性にやや多かった.
最近の諸家の文献を考按しても,帯状疱疹は中高年層に多発する皮膚疾患の一つになってきたようである.R. Schmidtは帯状疱疹の発生部位によっては内臓病変と関連していることがあり,たとえば左上肢に発生するものでは狭心症,胸郭にみられるものにおいては胸膜またはその癒着部位に一致している.内臓病変によって神経障害を招くときは,その走行に一致して帯状疱疹の発症をみることも珍しくないと述べている.比較的高齢者においては副腫瘍性疾患paraneoplastische Erkrankung,すなわち内臓の悪性腫瘍に随伴する皮膚疾患として帯状疱疹を考えねばならない.さらに多発性硬化症の患者ではしばしば帯状疱疹が先行する(Steigleder, G. K. 1)).
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