今月の主題 人工透析か腎移植か
透析療法の歩み
太田 和夫
1
1東女医大人工腎臓センター
pp.1398-1399
発行日 1978年10月10日
Published Date 1978/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402208045
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はじめにUremiaありき
体内に毒素が蓄積することによって病的状態が惹起されるという考え方は,医学の歴史とともに連綿として続いてきた一つの病因論であり,尿が出ないために発症する尿毒症は,毒素が体内に蓄積する病気の代表として注目を集めてきた.
このような背景のもとに,体から何かを"取る"治療法として初めて登場してきたものが,コロジオンを透析膜としたAbelの人工腎臓であり,1913年に報告されたが,当時セロファンなど使いやすい,性能のよい膜が入手できなかったがため,生体膜を用いるなどいろいろ苦労が払われたが,十分な効果をあげることはできなかった.そのため,この"取る"療法は一時,腹膜灌流にその主導権を奪われてしまった.しかし,1930年代に入ると,再生セルロース膜であるセロファンができ,また体外循環を行う上で欠かすことのできないヘパリンが使用できるようになってきたので,再び血液透析に対する関心が高まってきた.
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