今月の主題 慢性骨髄増殖症候群
慢性骨髄性白血病
Basophilic crisis
重田 英夫
1
1千葉県がんセンター臨床検査部
pp.1128-1130
発行日 1978年8月10日
Published Date 1978/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207980
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定型的CMLの経過
慢性骨髄性白血病(chronic myeloid leukemia,CML)は脾腫と白血球,とくに各種成熟段階の幼若顆粒球の著増を示す慢性骨髄増殖性疾患の一つとしてよく知られている.図1は定型的CMLが病態完成後,初診から急性転化に至るまでの典型的経過を模型的に表したものであるが,未治療時,好塩基球(以下Basoと略す)ならびに好酸球の増加を伴って著増を示す顆粒球の染色体はPh1(+)であり,また好中球アルカリフォスファターゼ(neutrophil alkaline phosphatase,NAP)のスコアーも著しく低値を示し,この時期の末梢血,骨髄血はともに骨髄芽球が1〜数%を占めることが多く,骨髄巨核球数,末梢血血小板数もしばしば増加している.
抗白血病剤(本邦では一般にアルキル化剤としてBusulfanが用いられることが多い)使用により数ヵ月でほとんどの症例が完全寛解に至り,白血球数ならびに血液像の改善とともに脾の縮小をみ,社会復帰が可能となる.この時期に注意すべきことはBusulfanによる骨髄低形成と早期の急性転化であるが,この場合,Basoの増加を伴うことはほとんどない.その後,通常2〜3年は寛解状態が続き安定しているが,やがて薬剤の効果が次第に悪くなり,貧血,骨髄線維化の傾向が出現すると同時にBasoの%が異常に増加するが,その大部分は成熟型のBasoである.
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