特集 社会のなかの精神科医
座談会
医療危機と精神科医のIdentity Crisis
土居 健郎
1
,
森山 公夫
2
,
松本 雅彦
3
,
榎本 稔
4
,
小田 晋
5
,
逸見 武光
6
,
折原 浩
7
1聖路加国際病院精神科
2東京大学精神科医師連合
3京都大学精神科評議会
4成増厚生病院
5東京医科歯科大学犯罪心理教室
6東京大学保健学科
7東京大学教養学部社会学
pp.1044-1064
発行日 1970年12月15日
Published Date 1970/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201689
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司会(土居) 私から皮切りいたします。きょうの座談会を企画されたのは,加藤先生および編集部の皆様方で,私自身はこの企画にのっておらなかったんです。企画された理由は,あらためて言う必要もないことですけれども,昨年の金沢学会以来,医療危機ということで,若手の精神科医の方々が,これまでの学会の体制に対して,鋭い批判を投げかけて,ほとんど一つの革命といってもいいような状況を生んできていることにあると思います。
ここで精神科医のidentity crisisという言葉がとくに座談会のテーマとして取り上げられたのは,たまたま私が金沢の学会のときに,その言葉は使いませんでしたが,申したことと関係があります。そのとき,結局いまの問題は一口にいえば精神科医とは何か,精神科医として何をなすべきか,という問題に集約できると申しました。それをたまたまEriksonの言葉を使って,identity crisisということで取り上げ,昨年の秋の精神療法学会のときにその問題をめぐって私たちの間で議論がなされました。このようなわけで加藤先生はじめ,編集部の方がこの問題についていま一ぺん少数の方々,ことに若い人で活躍していらっしゃる方々を集めて,もっと討論を深めたらいいのではないだろうか,また私がidentity crisisという言葉を導入したということもあって,私に司会をしろと,こういうことになったのだと思います。
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