今月の主題 慢性骨髄増殖症候群
病態
造血因子
千葉 省三
1
1東大第3内科
pp.1110-1111
発行日 1978年8月10日
Published Date 1978/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207974
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はじめに
血液細胞の生成が体液性の造血因子によって調節されるとする考えは,赤血球の生成を調節する因子(エリスロポエチンerythropoietin,以下Epo)の存在を予想したフランスのCarnotとDefrandreの実験(1906年)にはじまる.その後,Epoを中心に血球生成の調節機構について多くの模索が行われ,現在では赤血球のみでなく,白血球(顆粒球),巨核球-血小板系の細胞も,各各の造血因子によってその生成が調節されると考えられている,しかしながら,白血球は末梢血中の変動が大きいばかりでなく,辺縁プール(marginal pool)を含めた体全体の予備プールが大きく,生成自体の亀的な把握が困難であること,また,血小板についてはその数を正確に測定することが困難であるため,造血因士孔と血球生成に関する研究は,もっぱら赤血球を中心に行われてきた.赤血球は末梢において最も恒常的な値を示し,網赤血球数あるいは放射性鉄の利用率を指標として,その生成の程度を量的に追跡することがてきる.したがって本稿では,赤血球の生成を調節している造血因子Epoと,骨髄増殖性疾患のうち最も著明な赤血球数の変化を示す真正赤血球増加症を中心に,その病感生理学的意義におけるEpoの関与について考察を試みた.
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