今月の主題 慢性骨髄増殖症候群
病態
幹細胞
古沢 新平
1
,
小松 英昭
1
1濁協医大第3内科
pp.1106-1109
発行日 1978年8月10日
Published Date 1978/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207973
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はじめに
造血幹細胞は,(1)細胞分裂により自己と同一の分化レベルの血球を再生し得る,(2)未分化の段階にあり,各系統の血球に固有な性質を有していない,の2っの特質をそなえた細胞と定義されろ.幹細胞は,かつては幻の細胞すなわち単に概念の産物とも考えられていたが,近年の飛躍的な研究法の進歩により次第にそのベールがはがされつつある.とくに骨髄増殖症候群は,幹細胞の一次的異常によるものと考えられており,したがって本症候群の病態生理を理解するには幹細胞レベルにさかのぼって理解することが必要であり,また逆に本疾患は人における幹細胞の存花および性質を知るための格好のモデルでもある.以下まず造血幹細胞の境在の概念について説明し,次いで慢性骨髄増殖症候群の幹細胞異常論,および現在測定可能な幹細胞の本症候群における変動について最近の知見を解説する.
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