輸血検査メモ
造血因子—G-CSFの臨床応用
渡辺 力
1
,
高上 洋一
1
1徳島大学医学部小児科
pp.32
発行日 1997年6月15日
Published Date 1997/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903092
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顆粒球コロニー刺激因子(granulocyte colony-stimulating factor;G-CSF)は,正常好中球コロニーの増殖を促す物質として1980年代初めに純化され,1985年には遺伝子がクローニングされ,遺伝子組替え産物がつくられるに至った1).natural G-CSFは174のアミノ酸からなる蛋白で,18キロダルトン(kDa)の分子量を持ち,その遺伝子は17番染色体に存在する.主として単球,血管内皮細胞,骨髄間質細胞や線維芽細胞がG-CSFを産生するとされている.
現在,臨床に使用できるG-CSFは,チャイニーズハムスター由来で糖鎖を持つ(Lenograstim),大腸菌由来で糖鎖を持たない(Filgrastim),およびN末端の5つのアミノ酸を置換して効力を高めた(Nartograstim)の3種類があるが,生物学的効果には差がないとされている.その主な生物学的作用は好中球前駆細胞に作用して,好中球への分化・増殖を促進するだけでなく,好中球の遊走能や殺菌能などの機能をも増強する.
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