今月の主題 免疫診断法と免疫療法
免疫診断法・血清成分
免疫コンプレックスの証明
濱島 義博
1
,
高橋 勲
1
,
中井 庸二
1
,
吉田 治義
1
1京大第2病理
pp.792-794
発行日 1978年6月10日
Published Date 1978/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207897
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免疫複合体検出の意義
Immune complex(免疫複合体,以下ICと略)の意義は,Dixonらのone shot serum sicknessの動物実験モデルにおいて明瞭に示されている.その後DNA抗原と抗DNA抗体のICとループス腎炎との間に密接な関係が認められたのをはじめとして,SLEを代表とする結合織の病変とか腎糸球体の炎症あるいは系統的血管炎などの病変の発症,さらにその病態の進行に対し,ICは重要な役割を演じているものと考えられている.それはICの存在に伴った補体成分の関与(すなわち形成されたICが補体を活性化することなど),あるいは血小板とか好中球などとFcレセプターを介して反応し,種々の酵素活性物質を放出させることを契機として凝固線溶系,キニン産生系など種々のplasma mediator systemの関与を導き,さまざまな組織障害をきたすということである.
このようにICと病因との間に密接な関係が考えられることより,病変部の局所とか,あるいは患者の血中よりICの存在を証明しようとする試みのなされることは当然のことであり,またもし明確にICの存在を証明できうるならば,その発症のメカニズムとか予後などの関係が明らかとなり,その貢献はさらに大きいものである.
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