今月の主題 免疫複合体
総説
免疫複合体の証明法と臨床的意義
粕川 禮司
1
1福島県立医科大学・第2内科
pp.35-43
発行日 1979年1月15日
Published Date 1979/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542914991
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従来原因不明とされていた病気の中に免疫異常によって起こる病気のあることが,近年しだいに明らかにされてきた.その一つは自己免疫疾患として理解される病気である.これは10数年前に登場した考えで,螢光抗体法や間接血球凝集反応などの近年発達してきた免疫血清学的手法によって,患者血清中に自分の組織成分と反応する自己抗体が存在することが,種々の病気に認められるようになったことや,このような現象が,当時発表されたBurnetのクローン選択説に沿った禁止クローンの異常増殖ということで,都合よく説明されたという時代的背景に負っているように思われる
.ところが,検出された数々の自己抗体の多くは,病気の原因としては余り重要でないことがしだいに明らかにされて,現在では,自己抗体によって引き起こされる真の自己免疫疾患は,自己免疫性溶血性貧血と橋本病,それに全身性エリテマトーデス(SLE)くらいであると考えられるようになった.
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