図譜・大腸内視鏡診断学
IV.大腸炎症性疾患(3)—大腸クローン病
佐々木 宏晃
1
,
長廻 紘
1
1東女医大消化器病センター
pp.549-552
発行日 1978年4月10日
Published Date 1978/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207840
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クローン病は1932年にCrohnら1)が回腸末端炎として,他の炎症性疾患と区別して報告したのに始まる.その後クローン病は口腔から肛門までのすべての消化管に発生することが明らかとなり,他の炎症性疾患と鑑別を要するものとして,最近本邦でも関心を集めている.わが国では症例数も少なく(厚生省調査班の一次報告2)によると全国で127例であった),ようやく診断基準案2,3)が設けられたところで,非典型例の診断はまだ困難である.クローン病は腸結核,潰瘍性大腸炎などとは異なり,内科的にも外科的にも治療の困難な疾患であり,ことに外科的治癒がほとんど望めない以上,合併症のないかぎり,内科的に治療せざるを得ない,したがって,診断を切除標本からの病理組織所見に全面的に頼ることはできず,注腸X線検査,内視鏡検査,その他の臨床所見から総合的に診断することになる.そこで本稿では,臨床的または病理組織学的にクローン病と診断した例の典型的な内視鏡像を紹介する.
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