今月の主題 胸痛の診かた・とらえかた
胸痛を伴う主な疾患
肺炎
山本 正彦
1
1名市大第2内科
pp.352-353
発行日 1978年3月10日
Published Date 1978/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207779
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最近の肺炎についての考え方
今日では肺炎の概念は多彩になってきている.肺炎は通常,いわゆる肺炎(肺胞性肺炎pneumonia)と間質性肺炎(肺臓炎pneumonitisとも呼ばれる)と分けられるが,前者は肺胞腔を炎症の場として激しい浸出性の急性病変が起こり,肺胞壁の変化が少ないもので,肺炎球菌性肺炎に代表される細菌性肺炎がこれに属する.一方,間質性肺炎は炎症の場が肺胞壁を主体としており,通常はひき続き線維化が起こるもので,その代表にはHamman-Rich症候群がある.
しかし,最近の治療法の進歩や患者の老齢化により,肺炎桿菌,緑膿菌,大腸菌群などの弱毒菌によって遷延化し,肺胞性肺炎の像に間質性肺炎の像も混った中間型の肺炎が増加しており,一方,間質性肺炎もその疾患の主座である肺胞上皮はガス交換の場で肺実質そのものであると考えられるので,両者をあえて分けなくともよいとされており,したがって,肺炎の範囲は広範なものとなりつつある.
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