特集 臨床検査室マニュアル
Ⅴ.検査データからみた疾患の特徴
肺炎—〔同〕急性肺炎
岡安 大仁
1
1日大・第1内科
pp.1286-1287
発行日 1976年11月1日
Published Date 1976/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542909571
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1.概念
肺炎は,かつては細菌性肺炎の代名詞とされていたが,最近ではウイルス性肺炎およびマイコプラスマ肺炎などが目立ってきたために,肺炎すなわち細菌性肺炎という考えは過去のものとなった.肺炎の診断は,主として胸部X線写真における浸潤陰影の確認によるが,発熱,赤沈促進あるいは白血球数増多などの炎症所見と,検痰ないし,経気管支痰検査,または血清学的検査などによる病原の確認によって更に強固なものとなる.病原的診断は特に治療薬剤の選択および予後の判定上重要である.
細菌性肺炎は,一般に上気道から吸引された細菌の増殖によって肺胞壁毛細管の浮腫を生じ,その後肺胞腔内への好中球を主とした浸出性病変がみられるものである.肺の一葉にほぼ均等に病変を生ずるか,細葉性に散在するかで大葉性肺炎と気管支肺炎に区別される.ウイルス性肺炎は,主として間質内に単核球を主体とした病変を生じ,肺胞腔が狭くなるが,肺胞腔内への好中球の浸出はほとんどみられない.しかし,多くのウイルス性肺炎では,二次的細菌感染を否定しえない.またマイコプラスマ肺炎は,細菌性肺炎とウイルス性肺炎の中間的病像を呈する.
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