今月の主題 糖尿病への新たなる対処
インスリンをめぐる診療のトピックス
人工膵島
馬場 茂明
1
,
酒井 英世
1
1神戸大第2内科
pp.780-781
発行日 1975年4月10日
Published Date 1975/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205993
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生体内における血糖-インスリン相互関係は食餌,運動などをはじめとする諸因子の影響をうけ,時々刻々と変動している.しかし,糖尿病患者に対して今日まで広く行われてきたインスリン注射による補充療法では,このような生理的な相互関係を1日中厳密に維持することはきわめて困難である.
近年,糖尿病患者に対するインスリン治療の実際として,とくに合併症の進展防止を意図して,より生理的な血糖-インスリン相互関係を自動的に維持できる人工膵島の開発がすすめられてきた.Soeldnerらのボストングループは,図1,2のような小型で皮下に移植可能なモデルを完成させるべく,現在,その各構成単位の試作を行いつつある.一方,Albisserらのトロントグループは,図3のようなカテーテルを通じて生体と接続する体外型の人工膵β細胞を試作し,臨床実験まで行っている.いずれにしろ,これらは生体における膵ラ氏島の生理機能をモデルにしたものであり,原理的には両者に大きな差はない.
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