今月の主題 急性期脳卒中の臨床
診断法
超音波診断と生検
伊東 紘一
1
,
山中 桓夫
2
1自治医大臨床病理
2自治医大消化器内科
pp.201-203
発行日 1978年2月10日
Published Date 1978/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207738
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はじめに
膵疾患における超音波検査法の利用が広まりつつあるのは,検査法のもつ手軽さと非侵襲性による.近年機器の性能の向上により正常膵もよく描出される(図1).膵エコー像は矢状断面像を基本とする人が多いが,左上斜方向で右腎中央と左腎上部ないし脾臓を結ぶ線で水平面に対して30°の角度をもった断面像を得ると,頭部,体部,尾部を1枚に描し得る(図2).超音波のもつ特性のために膵病変の質的判定の可能性があり,とくに膵嚢胞の診断は容易である.しかし,現最階では膵癌と腫瘤形成型慢性膵炎の鑑別は血管造影,膵管造影,シンチグラフィー,CTなどを利用しても困難なことが多い.そこで超音波検査法が期待されるが,超音波病理学の未熟な現況ではいまだしの感が多い.
このような点から筆者らは超音波により確認された腫瘤が癌腫か否かを決定するために超音波ガイド下の経皮的針生検を行っている,本法は比較的容易に安全にできることから,今後各地で膵癌の診断に利用されて決定的な役割を果たすものと思われる.
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