私の経験例
肺炎にて初発し,頸部リンパ節生検および諸種検査で肺癌と診断された膵癌の一剖検例
斉藤 清治
1
1神戸労災病院内科
pp.2068
発行日 1977年12月5日
Published Date 1977/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207598
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肺炎にて初発し,頸部リンパ節生検および諸種検査にて肺癌と診断したが,死後剖検にて膵癌の肺転移であった例を経験した.
患者は45歳男性で,15年前,虫垂切除術の既往がある.昭和45年9月初旬より,咳嗽,微熱を訴え近医の治療を受けていたが,改善せぬため,9月16日入院した.入院時,右肺に粗な呼吸音と左鎖骨上窩から左頸部にかけて小豆大から大豆大のリンパ節腫大を認めたが,他の理学的所見に異常は認めなかった.検査成績では,一般血液検査,諸種肝機能検査,血清学的検査,血糖および脂質検査などに異常なく,赤血球沈降速度のみ中等度亢進していた.また尿,糞便検査も正常で,喀痰検査にても病的細菌は培養されず,悪性細胞は認められなかった.胸部X線写真では,右肺上野にびまん性の陰影と断層写真にて胸壁側を底辺とする三角形の陰影が認められた.
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