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I.はじめに
頸部腫瘍を初発症状としたり主訴としたりして耳鼻咽喉科を受診する患者の中に悪性腫瘍がしばしば発見される。これらは頭頸部原発の悪性腫瘍の頸部転移や全身性疾患である悪性リンパ腫であることが多いが,遠隔臓器原発の悪性腫瘍の頸部転移のこともある。頸部腫瘍患者の中には症候的にも外来検査上でも腫瘍の触知以外に特別なものがなく,生検を行って初めて悪性腫瘍と診断される場合があり,しかもその後の種々の検索にもかかわらず原発巣を発見できなかったり,発見に非常に苦慮したりする例がときにみられる。
今回われわれは頸部腫瘍を主訴とした男性患者で,種々の検索の結果睾丸に由来する胚細胞性腫瘍germ cell tumorであることがわかった2症例を経験したが,1例は臨床的に原発巣不明癌と考えられた症例である。原発巣不明癌としての睾丸腫瘍は文献上も稀なものと考えられるのでここに報告する。
A swelling of cervical lymph node was found in cases with clinical occult primary carcinoma. Histological investigation of the metastatic cervical lymph nodes did not disclose their primary sites. Systemic search for the primary sites of the tumors showed retroabdominal lymph node swelling suggesting tumor of the genitourinary tract. They were finally diagnosed as testicular non-seminomatous tumor because of testicular calcification, increased serum HCG and AFP, and histological specimen in one case.
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