今月の臨床 性の分化とその異常—どこまで解明されたか
性分化異常の臨床
7.副腎性器症候群
石塚 文平
1
1聖マリアンナ医科大学産婦人科
pp.84-86
発行日 1999年1月10日
Published Date 1999/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903514
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副腎性器症候群(adrenogenital syndrome)は,副腎における酵素活性の先天性低下に伴う副腎アンドロゲンの過剰産生の結果として起こる脱女性,男性化を主徴とする症候群である.
先天性のものの他,後天的に副腎腫瘍によって起こるアンドロゲン分泌過剰も知られているが,本稿では先天性の酵素欠乏による,いわゆる先天性副腎皮質過形成(congenital adrenal hyper—plasia:CAH)について述べる.CAHはコルチゾ—ル生合成の過程における各段階の酵素が遺伝的に障害されて,コルチゾ—ルの慢性的不足と障害酵素より上位のいわば前駆物質に当たるホルモンが過剰分泌をきたす疾患である.CAHに関与する副腎酵素で,婦人科診療とかかわりが深いのは,21—水酸化酵素(21—hydroxylase,P450 21,21—OH)と11β—水酸化酵素(11β—hydroxylase,P45011β)である.両者の欠乏は女性では副腎由来のアンドロゲン過剰による男性化をきたす,本稿では,女性における21—水酸化酵素,11β—水酸化酵素欠乏症の臨床像と治療法を,当科で経験した症例報告を交えて述べる.
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