今月の主題 早期胃癌〔2〕
綜説
胃隆起性病変
山田 達哉
1
,
福富 久之
2
1国立がんセンター放射線科
2国立がんセンター内科
pp.145-150
発行日 1966年5月25日
Published Date 1966/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111977
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1.はじめに
最近における胃X線診断技術の進歩や胃カメラの発達によって,潰瘍瘢痕や早期癌といったような微細な病変とともに,かつては比較的まれな疾患とされていた,いわゆる胃ポリープも,直径が5mm前後の小さなものまで術前診断できるようになってきた.その結果,いわゆる胃ポリープ.は日常しばしば遭遇する疾患となり,現在では決して珍らしい存在ではなくなった.それにもかかわらず,第3回日本胃集団検診学会秋季大会および第3回日本内視鏡学会秋季大会における合同シンポジウムで,「胃ポリープについて一発見頻度と診断」というテーマを与えられた著者らは,症例を検討し整理してゆく途上で,大きな壁に直面してしまったのである.すなわち今迄はあまり深く考えもせずに,胃内腔に突出した一定の形態のものを,いわゆる胃ポリープとして取扱い,観察し診断してきたのであるが,多数の症例を細かく検討しているうちに「胃ポリープ」とは何か?という根本的な問題に疑問が生じ,完全に前進をはばまれてしまったのである.この問題が解決されなければ,臨床的立場からの発見頻度とか診断とかは無意味なものになってしまう恐れがあるからである.
そこでわれわれは,いわゆる胃ポリープについて,いろいろと再検討を行なってみた.その結果われわれ臨床にたづさわるものにとって,かなり便利と思われる一つの試案をまとめることができたので報告し,諸家の御批判を仰ぎたいと思う.
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