今月の主題 高血圧の問題点と最近の治療
本態性高血圧症をどう考えるか
荻野 耕一
1
1京大第3内科
pp.1354-1355
発行日 1977年10月10日
Published Date 1977/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207386
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はじめに
本態性高血圧症はいまでも既知疾患の随伴症状としてではなく,原因不明の高血圧を主症状として発症する疾患と定義される.発症後,高血圧が進展,維持されるが,この機序も未解明である.さらに本症では,慢性高血圧の一般の経過と予後として,高血圧性血管障害の発生,枢要臓器の重篤ないし致命的な循環障害をきたすが,とくに頻度の高いのが特徴である.
高血圧の発生に関する輝かしい実験的研究成果にもかかわらず,本症の成因が不明のままに残されたのは,動物とその試料を対象とした実験的研究成果を本症患者について検討するための臨床的方法の開発に多く制約があったためである.また,本態性高血圧症のモデル動物として適当な高血圧動物の得られなかった点も,実験的研究成果を本症に適用することを躊躇させた一因である.
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