プライマリー・ケアの実際
吐血・下血
眞栄城 優夫
1
1沖縄県立中部病院外科
pp.1184-1187
発行日 1977年8月10日
Published Date 1977/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207331
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はじめに
口腔からトライツ靱帯までの上部消化管の出血で,大量の場合は全身状態の変化とともに凝血塊を混じた吐血をみることもあるが,少量の場合にはヘモグロビンが胃液中の塩酸によりヘマチンに変化してコーヒー残渣様の嘔吐となる.
下血は,上部および下部消化管のいずれからでもみられるが,上部では黒色タール便として出現する.時には急激な大量出血により腸管の蠕動元進のため凝血塊をみることもある.出血量が50ccあればタール便が出現し,1000ccあれば,タール便が5日は持続するといわれる.盲腸より下部の結腸の出血では,色も鮮血に近く,糞便とも完全には混ぜず,血塊が多いので,鑑別することができる.
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