今月の主題 腹痛の診かた・とらえかた
腹痛患者の診かた
身体所見のとらえかた
安部井 徹
1
1東邦大第2内科
pp.938-939
発行日 1977年7月10日
Published Date 1977/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207265
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全身的にみるべきところ
患者の姿勢や動作 弱い腹痛は言葉で訴えるだけである.強くなってくると,腹痛をこらえる表情や動作が表れる.顔貌は苦悶状となり,身体をくの字に曲げ,腹を抱えるような姿勢を示す.さらに強くなると,立っていることができなくなり,横になってころげ廻り,苦痛の叫び声を発する.私達はこのような姿勢や動作で,経験的に腹痛の強さを推定することができる.しかし,このような腹痛に対する反応には個人差があり,私達はこれを大げさだとか鈍感だとかいって斟酌する.大げさな人に対しては質問などして気をそらさせると,表現や反応が小さくなる.
腹膜炎などが加わってきて,壁側腹膜に刺激性が大きくなると,もはや"もがく"ことがかえって腹痛を強める.患者は動かなくなり,じっと歯を食いしばってこらえるようになる.
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