今月の主題 めまいの基礎と臨床
各種疾患と各科の「めまい」
聴神経腫瘍
小松崎 篤
1
1東大耳鼻咽喉科
pp.706-709
発行日 1977年5月10日
Published Date 1977/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207192
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
聴神経腫瘍(acoustic tumor)は本来第8神経の末梢部より発生するが,従来は診断が確定した時期には小脳橋角部に進展しており,脳幹や小脳症状などを示し,典型的脳腫瘍の臨床像を呈していることが多かった.
しかし,最近では神経耳科学的あるいは神経放射線学的なアプローチにより,比較的早期に聴神経腫瘍を診断することが可能となった.聴神経腫瘍はその初期症状として,難聴耳鳴などの症状を呈するため,大多数の症例で耳鼻咽喉科医を訪れることが多い.ただ,その時期には一側性の感音性難聴のみで,他の神経症状が認められないため,聴神経腫瘍の存在が見過ごされるため注意を要する.
Copyright © 1977, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.