臨床病理医はこう読む
肝機能検査(1)
山崎 晴一朗
1
,
久原 厚生
1
1久留米大病態検査科
pp.582-583
発行日 1977年4月10日
Published Date 1977/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207168
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黄疸の鑑別
黄疸を主症状とした症例の鑑別は,まずいかなる型の黄疸かを明らかにし,次に他の肝機能検査値を参考にすることにより診断のマトが絞られてくる.ビリルビンの生成経路を模式図に示した(図1).赤血球の生理的もしくは病的崩壊により生じたヘモグロビンは,大部分がビリベルジンを経て間接型(非抱合型)ビリルビンとなる.これは肝細胞に極めて特異的に取り込まれ,肝細胞のマイクロソームにてグルクロン酸抱合を受けて直接型(抱合型)ビリルビンとなり胆汁中へ排泄される.
①の部位の障害は,ビリルビンの過剰供給による黄疸で,各種の溶血性黄疸や原発性シャント高ビリルビン血症がこれに該当する.②の部位の障害は,肝細胞への間接型ビリルビン摂取障害で,Gilbert症候群の主要病因と考えられている.③での障害,すなわち肝細胞マイクロソームにおける酵素欠損あるいは機能低下による黄疸で,Crigler-Najar症候群や新生児黄疸がある.④の部位の障害は毛細胆管へのビリルビン分泌障害を示すもので,Dubin-Johnson症候群やRotor症候群に代表される黄疸である.⑤の部位の障害は胆汁うっ滞による黄疸で,肝内胆汁うっ滞症と肝外閉塞性黄疸の2つに大別される.
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