プライマリー・ケアの実際
蘇生法および溺水の治療
眞栄城 優夫
1
1沖縄県立中部病院外科
pp.136-139
発行日 1977年1月10日
Published Date 1977/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207045
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救急蘇生法は,予期できない突然の心停止,呼吸停止による死亡を防止するために行うものである.したがって,癌の末期症例のように,治癒不能で,予め死亡が予想される症例には,その適応はない.すべての病院で,突然死を減少させる努力が必要であるが,蘇生法の適応のない症例の鑑別も考慮しなければならない.
心停止が起こると,30〜40秒で瞳孔が散大し,アノキシアによる中枢麻痺のため,60秒で呼吸が停止し,常温では,2〜4分で非可逆性の脳障害が出現する.一方,呼吸停止が先行すると,心拍はしだいに減弱しながらも約5分は継続するので,5〜6分は脳障害を起こさない.このように,脳障害を起こすまでの時間は,心停止と呼吸停止のいずれが先行したか,直前の酸素需要の状態,体温などの種々の因子により若干の差が見られるが,蘇生法は瞬時を失せずに開始されなければならない.有効な人工呼吸,心マッサージにもかかわらず,15〜30分以上瞳孔が散大し,対光反射を欠く場合は,脳死を意味する1).散大していた瞳孔が縮小し,対光反射を認める限り,蘇生法を継続すべきであろう.
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