今月の主題 心筋梗塞—今日の問題点
治療
Counter pulsation―大動脈内バルンパンピング法
新井 達太
1
,
松井 正治
1
1慈恵医大心臓外科
pp.83-85
発行日 1977年1月10日
Published Date 1977/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207029
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はじめに
心筋梗塞や心疾患の手術後の心原性ショックに対して,近年counter pulsationのひとつである大動脈内バルンパンピング法intra-aortic balloonpumping(IABPと略す)が臨床に用いられ,大きな効果をあげている.この方法は操作が非常に簡単で,危険がほとんどなく,効果が著明なため,1968年頃からアメリカで急速に普及してきた.
本法は図1に示すごとく,balloon付きのカテーテルを股動脈から胸部下行大動脈まで挿入する.心臓の収縮期にはballoonをちぢめておき,心臓から駆出される血液を体の末梢に流す.心臓の拡張期にballoonを急速にふくらますと,balloonの圧力によって下行大動脈にある血液は逆行して脳と冠動脈に流入する.すなわち,心臓の収縮期には心臓の自力をいかし,拡張期にはballoonの圧力により冠血流量を増加させる.血行動態上,静止期にある拡張期を有効に利用しようとする方法である.本法の生理的意義は次の2つにある.
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