今月の主題 心筋梗塞—今日の問題点
新しい診断技術からみた心筋梗塞
心筋の機能—心エコー図による
町井 潔
1
1三井記念病院循環器センター内科
pp.66-71
発行日 1977年1月10日
Published Date 1977/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207025
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左室のasynergy
梗塞による左室壁の局所的収縮異常(asynergy)を検出することは左室造影法の主目的であるが,心エコー図によると,急性期にbedsideでくり返して行うことができる.ただし,心エコー図で知りうる部位は左室の中隔上部,後壁,心尖部の前壁,下壁で,梗塞の好発部位である前側壁は多くの場合検出できない.
最も一般的に用いられる方法は図1に示す左室長軸scanで,心室中隔上部と後壁が観察される.心尖拍動を触れる症例では心尖部より超音波ビームを入射すると,心尖部の前壁,下壁,後壁の内側側が観察される(図2).左室拡大が著明になると,胸骨左縁においたトランスデューサーを肋間に沿い心尖方向に向かって数cm平行移動し,心室中隔から左室前壁にかけてのエコーを連続的に記録することが可能である(図3).以上の方法によって観察される左室壁は,正常では収縮期に常に内腔側に向かって運動し,その振幅は,たとえば心室中隔では4〜7mm,後壁では9〜16mmであり,この値より大きいときには収縮充進(hyperkinesis),少ないときには収縮減少(hypokinesis),まったく動かないときにはakinesis,逆方向の外側に動くときには奇異性運動(dyskinesis)と診断される.一般的に梗塞部位の運動は減少または逆方向の運動を示すが,非梗塞部位の運動は亢進している.
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