Japanese
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Bedside Teaching
心筋メモリーと心エコー図
Detection of Ischemic Memory by using 2D Speckle Tracking Echocardiography
石井 克尚
1
Katsuhisa Ishii
1
1関西電力病院循環器内科
1Department of Cardiology, Kansai Electric Power Hospital
pp.821-828
発行日 2010年8月15日
Published Date 2010/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101530
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はじめに
従来の心エコー法を用いた虚血性心疾患の診断は,主として断層心エコーにより虚血部位の心内膜運動および壁厚増加の異常,すなわち収縮運動異常を検出することによりなされてきた.一方,虚血発作後の回復過程(reverse ischemic cascade)において収縮機能が改善した後に遷延する局所拡張機能障害としてpostischemic diastolic stunning,いわゆるischemic memory現象が報告されている.この概念は1980年代,動物を用いた冠動脈結紮モデルにおいて観察されていたが,臨床において捉えることは困難であった.その理由として,壁運動異常の診断には肉眼的な評価に頼っていたことが挙げられるが,近年この壁運動を解析する新たな技術として2D speckle tracking心エコー図が開発されている.
本稿では,このischemic memoryを2D speckle tracking心エコー図で捉える新しい虚血性心疾患の診断について紹介したい.
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