今月の主題 心筋梗塞—今日の問題点
新しい診断技術からみた心筋梗塞
心筋の機能—心室造影による
山口 洋
1
,
鷹津 文麿
1
1虎の門病院循環器科
pp.60-64
発行日 1977年1月10日
Published Date 1977/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207024
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はじめに
冠動脈疾患の診断に際し,冠動脈造影と同様,欠くことのできない重要な検査はこの左室造影である.冠動脈病変部に相当する領域の心筋の状態および左室全体としての機能を直接具体的に把握できる手段は,左室造影を除いてはないといっても過言ではない1).ここで意味する左室造影は冠動脈造影と同様,高性能の映画造影であって,cut filmを用いた連続撮影や,解像力の悪い映画造影ではない.なぜなら,左室局所の心筋障害を評価する際2),まったく自らの収縮を失っているakinesis,正常ではないが,収縮力を保っているhypokinesis,あるいは正常心筋部と異なった動きを呈しているdyskinesisや,paradoxical movementを示すaneurysmとの鑑別,さらにまた,心室拡張期complianceの評価,あるいは拡張終期"a"波に相当するatrial kickの確認などは高性能のcineventriculographyでなくてはとうてい観察不可能だからである.以下,冠動脈疾患における左室心筋障害の具体例および心筋障害評価の実際について述べる.
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