今月の主題 ミオパチー最近の進歩
ミオパチーの治療
ビタミンDの有効なミオパチー
松尾 宣武
1
1都立清瀬小児病院小児科
pp.2158-2159
発行日 1976年12月10日
Published Date 1976/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206989
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古くよりビタミンD欠乏性くる病や慢性腎不全症の経過中に著明な筋力低下やhypotoniaの出現することが知られているが,従来この問題に対する関心は低く,筋肉病学の立場からその病態生理についての検討はほとんど行われていない.しかし,慢性腎不全症に対して血液透析や腎移植を含む積極的な治療法が導入され,腎不全患者の長期生存症例が飛躍的に増加したため,今後合併症として発現するミオパチーが臨床上の重要な問題として次第に注目されるものと思われる.
慢性腎不全症にみられるミオパチーの成因はいまだ十分解明されていないが,慢性腎不全のみならず,ビタミンD欠乏性くる病,ビタミンD依存症などビタミンD代謝異常を伴う疾患には,筋力低下が出現することが少なくないので,慢性腎不全の場合にも,その成因として,ビタミンD代謝障害が重要な因子と想定されている.本稿では,慢性腎不全症にみられるミオパチーを中心に,ビタミンD代謝異常症とミオパチーの関連について概説したい.
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