今月の主題 ミオパチー最近の進歩
ミオパチー最近の進歩
里吉 営二郎
1
1東邦大第4内科
pp.2082-2084
発行日 1976年12月10日
Published Date 1976/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206962
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はじめに
筋疾患の研究は過去30年の間に目覚ましい発展をとげ,1950年を境として,いわゆる古典的な筋疾患の時代から近代医学の先端を走る時代に変わってしまったと断言できよう.19世紀の後半に到って華々しい成果をあげた神経学の発展の中で,進行性筋ジストロフィー症,周期性四肢麻痺,重症筋無力症,皮膚筋炎,筋強直症などが見出されたが,1950年以前においては,筋疾患に対する関心は一般にあまり高くなかったといえよう.内科学の成書をみても,神経学の専門書を開いても,筋疾患の項目には十指に余る疾患しかあげられておらず,筋病理学に関する知識も極めて乏しかった.
現在,筋疾患としてあげられているものは実に数十種類に及んでおり,その進歩は驚くべきものがある.1950年以後に見出された新しい筋疾患を年代順にあげてみると表のごとくで,20に近い.これらの発展は臨床家の鋭い観察によって築き上げられたものであるが,それはその背景となった基礎医学の進歩と,それらを研究の発展にとり入れた先駆者の努力に負うものである.
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