臨時増刊特集 日常役立つ診療技術
診断篇
XV.超音波診断法
1.超音波診断法
和賀井 敏夫
1
1順大超音波医学研究センター
pp.1968-1977
発行日 1976年12月5日
Published Date 1976/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206936
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近年,超音波という一種の音波(弾性波)が臨床各分野において,種々の特色をもった診断法として利用されるようになってきた.この超音波診断法といわれるものは,広い意味における超音波応用技術の一部門である.超音波応用技術は超音波エネルギーを応用する動力的応用,すなわち強力超音波応用と,超音波を情報伝達の手段とする応用,すなわち通信的応用とに大別される.前者の動力的応用には超音波加工,超音波洗浄など,医療では超音波治療が含まれ,後者の通信的応用には超音波探傷器,魚群探知器や医療では超音波診断が含まれることになる.この中で,超音波の通信的利用は第二次大戦中ソーナーのような軍事目的に開発が進められたが,戦後これらの技術の平和利用として,探傷器や魚群探知器の開発と同時に診断的利用の研究が始められた.これは1950年頃からであり,それが近々20年の間に飛躍的進歩を遂げたわけである.この理由としては,目覚ましい発展を示した電子工学の技術を縦横に取り入れたことによることはもちろんであるが,一方,超音波診断法が現代の医学の要望にかなりの部分で答え得るという因子を持っていることがあげられる.超音波診断法の臨床的研究は,わが国が世界に先がけて着手し,1960年代はわが国の独壇場であったが,1970年に入り,諸外国,ことに米国における開発,利用が急速に進歩し,今や世界的にも診断法の領域に新しい分野としての地位を確保するまでになった.
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