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臨時増刊特集 日常役立つ診療技術
診断篇
XIV.脈管造影法
2.冠動脈・左心室映画造影法
cine coronary arteriography and cineventriculography
山口 洋
1
1虎の門病院循環器科
pp.1917-1922
発行日 1976年12月5日
Published Date 1976/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206926
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原理と意義
冠動脈および左心室に選択的に直接造影剤を注入して造影し,それらを映画に収め,活動している状態で病変を見定める方法である.すなわち,形態と機能を同時に把握し得る検査法であるため,冠動脈病変と左室心筋障害との関係を問題にする虚血性心疾患,あるいは心筋症の診断には最も優れた方法である.さらに僧帽弁膜症をはじめとする弁膜疾患の診断にも形態と機能の同時把握という点で,極めて精度の高い情報を提供する手段といえる.
むろん,心電図,血清酵素値の分析による診断もかなり高度な水準に達してはいるが,これらの検査法が心筋に起こった変化を見ているものであるから,冠動脈病変の診断という意味では二次的あるいは間接的診断法といわざるを得ない.さらに心筋の二次的変化も冠動脈病変がある程度以上進行し,その内腔狭窄が質的にも量的にも一定限界を越えないと,たとえ運動負荷など誘発条件を加えても,心電図上の変化として現れてこないばかりか,しばしば狭窄病変が一定限界をはるかに越えた高度なものであるにもかかわらず,心電図上変化を示さないこともある.
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