今月の主題 電解質異常のすべて
電解質異常とpH
Alkalosis
杉野 信博
1
,
中島 智子
1
1東女医大内科
pp.1504-1505
発行日 1976年11月10日
Published Date 1976/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206813
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体液のacid-baseを論じる場合に,血液の〔H+〕濃度が基準となり,すなわちpHの上下により,alkalosis,acidosis(正確にはalkalemia,acidemia)といわれる.しかし,生体内には強力なbufferがあり,細胞外液では重炭酸系,蛋白,燐酸系が,細胞内液では蛋白,有機燐酸(ATP,クレアチニン,燐酸など),Hbが作用する.したがって,結果的には血液pHはかなりの程度まで正常域に維持され,この緩衝系の代償作用の限界を越えた場合にpHの異常が起こる.また,体液中に生じた過剰の酸,アルカリ(内因性であろうと,外因性であろうと)の解離度は他の電解質の存在によって変わり,したがって,酸,アルカリ平衡は電解質の変化によっても変動し,逆もまた真の場合がある.この点はとくにK,Clで明らかで,alkalosisに際して,低K,低C1血症をみる場合が多いし,またK,Cl欠乏に際してalkalosisを認めることも多い.
一般にalkalosisは発生機序から呼吸性と代謝性とに分類されるが,呼吸性alkalosisは過換気症候群でみられ,代謝性alkalosisは激しい嘔吐などで胃液が大量に失われた場合にみられる.これら病態はいずれもH2CO3(PCO2に比例)の欠乏,あるいはHCO3の過剰に原因するものである.
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