図解病態のしくみ—消化管ホルモン・6
エンテログルカゴン代謝
石森 章
1
1東北大第3内科
pp.1414-1415
発行日 1976年10月10日
Published Date 1976/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206790
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消化管粘膜に分布し,その作用が膵グルカゴンに類似すると考えられたことから,エンテログルカゴンと命名された本物質は,免疫学的にも膵グルカゴンとある程度の交差性を示し,化学構造の上からも類似性の認あられることから,一般にsecretin familyに属すると考えられてきた.しかし最近の知見によれば,これらは単一の物質ではなく,主として小腸,大腸に分布するglucagon-like immunoreactivity(GLI)と,主としてイヌにおいて胃に分布し,膵グルカゴンと免疫学的に同一性質を示すglucagon immunoreactivity(GI)とに分類することができ,作用の上でもそれぞれ特徴のあることが明らかとなった.産生細胞として前者ではL細胞,後者ではA細胞が指摘されているが,ここではこれまでの歴史的背景や種族特異性を考慮して,主としてGLIをエンテログルカゴンとして取り扱い,場合に応じてGIについても言及することとする.
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