新しい機器の紹介
エンテロチューブによる腸内細菌の同定
藤井 裕子
1,2
,
向島 達
1,2
,
大倉 久直
1,2
,
中山 昇
1,2
,
植園 健一
1,2
1国立がんセンター病院臨床検査部
2細菌免疫検査室
pp.885-891
発行日 1974年8月15日
Published Date 1974/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908637
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はじめに
細菌検査において,臨床材料より検出されるグラム陰性の杆菌は,大部分が腸内細菌科で,その同定方法も安定した精確度の高い検査法が確立されている1).しかしながら,こうした検査法を維持するためには,今後,被検菌種の変遷,増加とともに,各種確認培地も増加し,これに伴う準備が膨大になることが予想される.したがって検査法自体の簡便化もさることながら,各種確認培地の簡便化も必要にせまられている,このような目的を持った迅速かつ簡便な腸内細菌同定法としては,現在,種々の既製の乾燥培地に菌液を接種して用いるアナリタブ・チューブ法2),ディスクを用いるビオテスト法3),短冊型瀘紙を用いるPathoTec法4),およびEnterotube法4〜6)などが紹介されている.このたひわれわれは,ロシュ社により開発されたEnterotubeについて検討する機会を持った.Enterotubeとは,1本のプラスチック・チューブに既製の8種類の生培地が組み合わきれており,1回の操作ですべての培地に菌の接種ができ,これにより11項目の生化学的性状検査が可能である.われわれは,臨床材料より分離同定された各種菌株を用いてEnterotube法(以下E法と略す)による生化学的性状と,従来の生物学的性状検査法(以下従来法と略す)との差および操作,反応などについて比較検討を加え,しくつかの知見を得たので報告する.
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