今月の主題 リンパ組織の基礎と臨床
治療
悪性リンパ腫の治療
坂井 保信
1
1都立駒込病院化学療法科
pp.1258-1263
発行日 1976年9月10日
Published Date 1976/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206742
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はじめに
悪性リンパ腫は,放射線および各種の抗腫瘍剤によく反応するため従来から種々の試みがなされてきており,多くの報告がある.しかし,筆者らの検討結果では,1960年前後以前には,特殊型を除いてはこれらの治療が本当に一般的な患者の生存延長効果をあげてきたとはいいがたく,一時的な抗腫瘍効果のみが問題にされていたにすぎないことが明らかにされた1,2).
しかし1965年,Vinca Alkaloid剤とくにVincristine(VCR)が出現してからは,その様相を異にし,本剤は,わが国の悪性リンパ腫の過半数を占め,かつ従来の薬剤が反応しにくかった細網肉腫に対しても,かなりの有効率を示し,短時間の腫瘍縮小効果のみならず,数ヵ月以上に及ぶ寛解効果を多くの症例にもたらすようになった.しかも比較的骨髄障害作用が軽いことから,従来の薬剤その他との併用あるいは連続使用が可能であり,これらの研究により悪性リンパ腫の生存期間は初めて大幅な延長をみたのである.
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