今月の主題 知っておきたいリハビリテーションの技術
諸種神経疾患のリハビリテーション
小脳性失調症
平方 義信
1
1前鹿教湯温泉治療研究所
pp.1078-1079
発行日 1976年8月10日
Published Date 1976/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206688
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小脳性失調症とリハビリテーション
小脳性失調症は,原発性変性疾患としては少年期発病のFriedreich病,よりやや遅く発病するPierre-Marie病,さらに遅く中年期発病のオリブ橋小脳萎縮症(OP-CA),オリブ小脳萎縮症(OCA),晩発性小脳皮質萎縮症(LCCA)などの一群の疾患と,脳血管障害などによるWallenberg症候群,頭蓋底陥入症,その他からの二次性症候性のものとがあるが,いずれにせよ,一度出現すれば,どのような治療にも抵抗して治癒の傾向を示さない.しかし,これらの病気はいずれも致死的なものでなく,したがって障害を持ったまま生き続けるこれらの患者に,生きがいのある生活を送らせるためにリハビリテーションが必要となる.しかし,小脳性失調と一括しても,かなり多様な病態を示すので,ほとんど1例ごとに異なった処方をせねばならない.Friedreich病における足の変形に見られるように,痙性,拘縮の要素が関与しているし,原発性小脳変性症は相互の間に移行もしくは中間型,混合型というような症例も多く,またFriedreich病,Pierre-Marie病にはジストロフィー近似の性質の筋病変もあるといわれている.時に診断に困難を感じさせる原因でもあろう.
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