私の失敗例・忘れられない患者
"とんでもない医者"
山田 辰一
pp.750
発行日 1976年5月10日
Published Date 1976/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206588
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昔のことではあるが,私には昨日のことのように思い出される若い女性の患者がある.
昭和30年頃私は,ある診療所に勤務しながら,自宅で夜間診療をしていた.その頃の冬,私は,彼女が毎夜のように動悸と呼吸困難を訴えるため,往診を頼まれていた.行ってみるととくに異常と思われる所見がみつからない.「心臓ノイローゼです」,私はそう断言して鎮静剤を注射したり投薬したりしていた.しかし,患者は一向によくなったとはいってくれない.そのうちにパッタリ往診を頼んでこなくなった.
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