今月の主題 腎不全の病態と治療
代謝面からみた病態
糖代謝
中川 成之輔
1
,
東海林 隆男
2
,
笹岡 拓雄
2
1東医歯大第2内科
2横須賀共済病院内科
pp.464-466
発行日 1976年4月10日
Published Date 1976/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206499
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腎不全の糖代謝異常は,1910年代から知られた事実である.その原因はいくつかあげられてきた.主要なものは,①インスリン分泌異常,②末梢におけるインスリン感受性の低下,③インスリン拮抗物質(=uremic toxin),④肝におけるgluconeogenesisの異常,⑤growth hormone(GH),⑥高脂血症(Fredrickson分類第IV型)などである.①および④を主たる病因とする立場をとる学者は少なく,むしろ否定的になっているといってもよい.②はおおむね肯定されている.その他の項目は論議されている段階である.
腎不全が進行し,末期に達すると透析に移行され,病態生理学的修復をうける,糖代謝異常の改善が安定するまでの期間は,報告者によって異なり,一致した見解はない.筆者らは多くの病態生理学的修復が成立する時期に応じて,透析開始以後の病期区分を行いうると考えて,いくつかの指標について検討を行っており,糖代謝異常が安定するには6カ月を要すると考えているが,短いところでは,Hampers1)が2週とし,わが国の報告者で12ヵ月以上とするものもある.
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