小児と隣接領域
眼科
植村 恭夫
1
1慶大眼科
pp.286-287
発行日 1976年2月10日
Published Date 1976/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206444
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小児,ことに乳幼児の時期は,視覚の発達の重要な時期である.視覚の発達には適切な視的環境(経験)が必要なことはいうまでもない.また,生体側の条件としては,①眼位が正常であること,②屈折状態が年齢に応じた状態であること,左右眼の屈折状態に差がないこと,③前眼部,中間透光体,眼底に異常がないこと,④視路,中枢に異常がないことなどが必要とされる.もしこれらに異常があると,この発達の期間に発見し,治療し得るものに対しては治療を行わないと,視覚は発達しないか,発達したとしてもはなはだ不完全なものとなる.すなわち,小児眼疾の中には,治療に対するcritical timeが厳格に要求されるものが多い点を小児診療の上では常に念頭におく必要がある.また,乳幼児期は,視覚の発達の障害に対する感受性の強い時期でもあり,不用意な処置が思わぬ結果を招くことがあることも知っておく必要がある.そこで今回は,乳幼児にしばしばみられる眼疾を中心に,これらの問題を述べてみることとする.
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