今月の主題 胆道疾患—診療の実際
胆石治療をめぐるトピックス
胆石溶解法
菅田 文夫
1
1昭和大藤が丘病院内科
pp.194-195
発行日 1976年2月10日
Published Date 1976/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206414
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胆石を内科的に溶かそうという試みは古くから数多く試みられてきたし,また,胆嚢や胆道疾患に関心を寄せる内科医の夢でもあった.しかし,これまでに試みられた多くの薬剤に関しては,理論的根拠の乏しさや追試成績が必ずしも好結果を得ていないことなどから,たとえ胆石が消失したとしても,それは自然排出その他による"偶然性"のなせる業として理解されてしまうことが多かった.しかるに,1970年代に到って,にわかに脚光を浴び始めた胆汁酸製剤によるコレステロール胆石溶解の試みは,コ結石の成因論を基礎としての理論的納得のゆく方法であるだけに,欧米におけるかなり良好な治療成績の報告と相俟って,わが国においても基礎的および臨床的研究が急速な進展を示しつつある.そこで本稿では,誌面の都合により,胆汁酸による胆石溶解法についてのみ述べることにし,他の治療法,たとえばビリルビン系に対するヘキサメタ燐酸Na溶液や,コ系石に対するリモネン製剤などの直接溶解剤についての解説は,他の文献を参考にしていただきたい1).
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